第5回全国高等学校選抜ラグビーフットボール大会 観戦記


 対岡谷工業高校

 平成16年4月1日、午後2時45分、場所は熊谷ラグビー場。待ちに待った小倉高校の全国大会一回戦が開始される。ワクワクするような、不安なような、いろんなものが入り混じった期待感が胸に去来する。
 第三試合が終わり、選手がグランドに現れた。小倉高校応援席から「ワー!」っという歓声があがる。すぐに応援団長が指揮を執り校歌斉唱がはじまった。異様な興奮の中、校歌が斉唱されエールがきられた。いよいよキックオフ!相手は全国大会の常連校でFW平均体重約90kg。100kg以上の選手を3人擁する大型チームだ。対する小倉はFW平均体重74kgというところか。これで戦えるのか?という不安が、一瞬、脳裏に浮かぶ。キックオフ!
 するとどうだ開始早々敵陣ペナルティーから展開しセンターが一気に抜けて全国大会初のトライ!応援席から驚きと歓喜の声がおこる。3分にもバックスの展開で一気のトライ。しかし、9分には岡谷工業が敵陣からのモール攻撃でFWが押し込みトライ。やはりFWが重量を利用して圧倒してくるのか?
 しかし、14分、18分、28分にバックスが立て続けにトライを奪いこの不安も無用のものとなった。ここで前半終了。いずれのトライも小倉の早い展開に岡谷がついていけずゲインをきって一気にきめたものだった。小倉の展開の速さとバックスのスピードが目立つとともに岡谷の横への動きの悪さとデフェンスの甘さが露呈した。
 後半、しばらく膠着状態が続いたが8分に敵陣ゴール前10mのラインアウトから小倉得意のモール押し込みでトライ。15分にはバックスが抜けてトライしほぼ勝利を決定付けた。応援席では「番狂わせじゃないか?」と驚きの声もあがる。ここで少し集中力がとぎれたのか重量FW相手に疲れたのか21分、29分と岡谷にトライを許した。ここで試合終了。
 応援席は歓喜の渦となる。中には涙ぐむものまで現れた。握手がいたるところで交わされる、抱き合う者もいる。結果は45対17、小倉高校が全国大会初勝利を勝ち取った。


 対啓光学園高校

 平成16年4月2日、午前11時、前日の記念すべき全国大会初勝利から一日、今日の対戦相手は花園の全国大会でここ3年間、連覇を果たしている高校ラグビー界の王者、啓光学園だ。大敗するのでは?と思う一方、善戦してくれるのでは?いや、ひょっとしたら勝ってくれるのでは?色々な思いが交錯して試合開始をむかえた。
 今日も小倉の応援席は満員だ。例によって応援団長の指揮で校歌の斉唱とエールがきられた。いよいよキックオフ!開始2分、早々と啓光が敵陣ゴール前ラインアウトからモールを作り少し押し込んで小倉ディフェンスを十分ひきつけてSHからSOへ、SOがギャップをついてあっという間にトライ。4分にはキックオフからバックスに展開され、これもあっという間にトライ。小倉、なすすべなし。
 12分、17分、23分にも見事なトライを奪われる。アタックにおいて啓光は必ずモールを一歩押し小倉ディフェンスを十分ひきつけて数を余らせギャップを作っている。有効なキックを上げて相手のミスを誘う。タックルをうけても倒れない、タックルをはずして前進する。プレッシャーをかけられ小倉のタックルもやや受け気味になっていた。ゲインを切るとトライにむすびつけられることが多かった。
 ディフェンスにおいて、啓光の出足は鋭く小倉バックスがボールをもらった瞬間にタックルをあびせ小倉バックスにゲインを切らせなかった。また小倉ボールのダウンボールでも鋭いオーバーでスウィープしてターンオーバーしてしまう。強烈な破壊力というよりはコンタクトプレー、ハンドリング等の一つ一つのプレーすべて、そして筋力等のフィットネスが一枚も二枚も上で余裕をもって、上手くプレーされたという感じがする。とにかく小倉は前にでることができない。  後半が始まってもやはり同様のプレーぶりで4分、14分、18分、22分に啓光にトライを奪われた。応援席もなりを潜めている。このままノートライで終わってしまうのか?
 28分、久しぶりに小倉が敵陣ゴール前にせまった。ラインアウトから得意のモール攻撃だ。右に左に相手の力を分散してグゥーーー!と押してあと3m、ここでフランカーが抜け出しタックルをかわして啓光相手に初のトライなる。応戦席が一気にどよめき「流石!小倉!」の大歓声が上がる。「もう一本!」の声に押されるようにして30分同様のパターンで連続トライ。応援席はまるで勝利したかのような盛り上がりだ。大声でわめき散らすような歓声があがる。ここでノーサイド、12対59で王者、啓光に敗れた。
 敗れたとはいえ全国大会3連覇のチームに後半2連続トライを奪ったことは賞賛される。ただ、いずれもFWのモール攻撃でうばったトライであり、欲を言えばFWの連続ボール奪取からバックスを走らせたトライがみたかった。

 以上、選抜大会二戦の観戦記を書かせていただきましたが、なにしろ全国大会初出場ですから、まず一勝でき、王者、啓光学園から2トライ奪えたことで満足すべき結果であったと思います。この経験を生かして、来る、花園の全国大会に挑戦して欲しいものです。


OBからの投稿に戻る
inserted by FC2 system