宿敵東福岡 粉砕   (九州大会予選 県大会準決勝)
5月31日 於:九電香椎グランド
三度目の正直 記


 31−10 (前半 24−10、後半 7−0)

 完璧な勝利であった。 タイムアップの笛。ベンチ、スタンドは拍手の嵐。しばし、おさまらず。60分間の激闘に耐え抜いた選手たちに惜しみないねぎらいだ。勝利をかみしめながらベンチに戻る選手たち。高ぶる感情を押さえ切れずにススリ泣く者、スタンド、ベンチにVサイン 喜びを体全体で表現する者、まるで負けたように顔をこわばらせている者、…。迎えるベンチも同様、涙、笑い、そして…昂奮。ベンチもスタンドも優しく選手たちを迎えた。待ちに待ったこの瞬間、打倒、東福岡に挑み、幾度と無く跳ね返されてきた悔しい気持ちを昇華させた。そして、大場先生が鳴咽とまらぬ櫻木主将の肩を優しくたたき、握手をした。積年の悔しさが癒された。

 みつバチは巣を襲うすずめバチに命をかけて戦うそうだ。無論、1対1ではとうてい勝てるわけはない。では、どうするのか…。すずめバチに集団で戦いを挑むのだそうだ。その戦法には驚かせられる。標的のすずめバチに羽根を激しく震わせ接近する。何匹も何匹もすずめバチを取り囲む。当然、次々に犠牲者がでる。しかし、ひるまずまた何度も何度も取り囲む。ついには、すずめバチはみちバチの羽根の震動で生ずる熱で絶命するそうである。さながら灼熱地獄である。この日の小倉は15匹のすずめバチを見事に退治した。

 このけなげなみつバチと我が小倉FWとをどうしてもオーバーラップしてしまう。それほど、忠節を尽くす働き者なのである。筆者は最近、彼らを"みつバチ軍団"と呼んで一人悦にはいっている。それほど、頼もしくもあり、けなげなかわいい奴等なのだ。並み居る大男たちの突進に幾ばくもひるまず、真正面から受け止める。そして、スッポンのように離さない。そして、援軍を待つ。常に我が軍の集散が上回る。最後はボールゲット。ついぞ、連続攻撃からの決定的シーンは1度も許さなかった。前半、3本目のトライが東福岡のプライドを粉砕した。相手ゴール前でのマイラインアウト。力と技で押し込んだ。ガッツポーズの小倉、一方の東福岡は3,4人がグランドにへたりこみ、しばし起き上がらない。

 後半、先取すれば勝利はゆるぎないものに…。思うは私一人ではあるまい。開始、10分間 敵陣での目まぐるしい攻防が…。誰か定かではないが執念の猛チャージ、そしてトライ。隣人曰く、「いまのは誰ですか?すごかったですネ。」それに答えて、「今の、プレーは選手いやベンチを含めたみんなの気持ちがいかせたのですよ。」ベンチで構える小出 健司、田中 康介、佐藤 恭平、そしてみんなみんなの気持ちなのである。

 今日は"アタックの山田"ならず、ディフェンスが光った。顔面負傷にもめげず必至の防御。すばらしいバッキングアップ。吉田、竜口、松尾そして古賀の2年生も何度もはじかれながらも食らいつく。ひるまず前に出るので相手の出足は止まる。そして、二の矢、三の矢が突き刺さる。勇気あるアタックが敵の攻撃をブレーキングするのだ。

 しかしながら、これで浮かれかえってはならない。歴史は刻んだが、勝利の美酒に酔うのも今日まで。明日からは、また新しい1日が始まるのだ。なにより、もう一つ大きな仕事が残っている。いわんや、今日の勝利でかえって目標が遠のいたかもしれない。明日からは君たちがチャレンジを受ける立場になったから。薄明は見えてきたものの、目指すユートピアはまだまだ遥か、遥か。

 自分を信じて、仲間を信じて。そして、自ら信じてきたことに突き進め!

"天は自ら助くる者を助く。"


OB,保護者からの投稿に戻る
inserted by FC2 system