GW諫早遠征 「3度目の正直」 記


 さぁ待望のGW。家族サービスのキャンプにかこつけて、ただひたすらに諫早へ。
 そして、2日間にわたり下記のハーフゲームを観戦した。一方的な試合、そして首傾げの接戦等々。試合内容に山あり谷ありと落差の激しい遠征だった。長所、短所を明白にさらけ出した。今後の課題は実力的には拮抗していなかったチームにもかかわらず苦戦したという試合結果への対応、対策であると思う。

5月3日 対:大村城南
同 4日 対:鹿児島実業、対:名護、対:諫早農業、対:県立荒尾

 上記カード以外の都城、長崎南山との対戦は生憎と観戦することが出来なかった。概評、名護高校以外のチームは小倉ディフェンスに対していかにして一矢を報いることが出来るかということが唯一のテーマに感じられた。格下だった。みずからの攻撃の糸口が見出せない一方的な試合、完勝だった。
 いずれの試合もハーフのみ25〜30分間。名護戦以外は0封。そして50点以上の大量得点。失点の雰囲気を感じさせたのは対鹿実、荒尾戦で各1回ぐらいだった。それも相手アタックによるものではない。こちらの積極的アタックによるミスに乗じての攻撃であった。名護以外はキックで蹴り込むしか攻撃の選択肢はない様に見えた。キックの対策として手堅くいくならば同じくキックで対応するのであろうが、山田はそうはしない。意識が高い。球を小脇に抱え敵に接近、十分引き付けキラーパス。通れば一気に相手インゴールの可能性。唯一、相手に隙を与えるのはその接点での球捌きだ。つまり、しくじった時にピンチとなるのだ。しかしながら、いずれの試合もタフネスFWのすばやい集散で事無きを得た。弱点である体重差を機動力で補う頼りになるフィットネス軍団である。
 このFWの肉体的、そして精神的にもタフであることを象徴するすばらしいトライがあった。最終カード、終了寸前の荒尾陣での相手ボールスクラム。得点はトライ数 6本―0本ぐらいだったと思う。遠征最後のカードである。身も心もクタクタのところ、軽く流してというのが人情じゃないか…。さにあらん、闘将櫻木は相手スタンドオフのキックに猛然とチャージし、そのままインゴールへ…。敵も味方も脱帽のトライだった。彼、いや小倉が目指すべきラグビーの真髄を見せてもらった。

 トライラッシュの原動力はと言えば、とりもなおさず山田のゲームメークである。走ってよし、投げて良し、蹴って良し、それに当たって良しの山田を防御するのは高校生レベルでは至難の業であろう。それぞれのプレーが超高校級なのである。その超高校級のスキルに手を変え、品を変えとコンビネーションよく取り混ぜられると為す術がない。SH古賀とのコンビプレーでも目を見張るものがあった。二人で目まぐるしくサイドチェンジの繰り返し、密集での相手ディフェンスを混乱させた。パス警戒の防御には一気に急所にえぐりこむ。また、体当たりによる現状打破も心得る。中央の防御が堅いと見るや田中(貴)ヘワイドなパス。
 よく、貴一のノッコン批判を耳にするが、それは当たっていない事が多い。いわゆる“両刃の剣“のプレー、途中の仕掛けを省略した一気にトライの必殺パスである。そのシビアーなパスを貴一は敵DFを眼前に据えながら一瞬のうちに捌かなければならない。ある時は体を張って基点になりFB溝淵を縦に突き上げる。また、ある時はワンタッチでウィングへ流れるようなパス。勿論、自信の突破も虎視耽々と窺う。はなはだタフなポジションなのだ。ノッコンのレベルが違う。理解してやって欲しい。
 良しも悪しも山田次第である。ところが苦戦の原因もやはり山田なのである。多彩な戦法を繰り出す緻密な山田の頭脳にも狂いを生じることがある。それが、対名護戦であった。縦突破を何度となく止められる。とはいっても、相手は二人がかりなのだが…。イメージどうりにいかないフラストレーションがついつい彼に冷静さを失わせる。ムキになって相手防御の真っ只中に突っ込む…、思うつぼ。その結果が遠征唯一の敗北であった。

 話はチト古うございますが、あのチョーさんこと“長島 茂男”の話。売り出し中の若手投手の速球に1球目空ぶり、2球目見逃し。ため息をつきながら、「こんな速い球打てんよ…。」と…。そして、3球目。狙いすました速球をものの見事にレフトスタンドへ…。スキップ、スキップのダイヤモンド一周。つまり、“柔よく剛を制す。”ということである。

 試合というもの局面、局面にすべて勝てば、負けることはないということも事実である。しかし、相手が弱いといっても最初から最後までまったく完璧などということは神様でもない限り不可能な話だ。いいかえれば、どんなに劣勢であってもワンチャンスさえものにすれば勝つ事だって有り得るわけである。よしんば局面で負け続けたとしても唯一のチャンスを活かして勝てばよいわけだ。つまり、“肉を切らせて骨を絶つ。”の精神である。
 勝負事というものいつも順風万帆とはゆかない。追い風の時もあれば向かい風の時もある。時には一気の功を焦らず、急がば回れといった余裕が必要な時もあろう。くれぐれも相手の挑発や、自身・仲間のミスなどで冷静さを失うことのないようにしたいものである。

 押されに、押され、押されるも、耐えに耐え、そして耐える。ついには勝利をもぎ取る逞しい集団たらん!


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